関西現代俳句協会

会員の著作(2012年事務局受贈分)

    全句集

「伊丹公子全句集」

伊丹 公子

沖積舎 2012年10月3日刊

 

『メキシコ貝』の二百七十二句の俳句はみな、新しい技法のためか、どの句も、作者の言わんとする詩心をすなおに伝えて、その詩の世界に読者を引き入れ、楽しませてくれました。その上、どの句にも、特種な微細な光があるのが、不思議です。

芹沢光治良・・・・・「伊丹公子への手紙(5)」より

伊丹公子の方法が注目されるのは、その感受性の全開が生活のしこりを抱えこんで行われるとき、俳諧性との対峙という方向で言葉を獲得してゆく道筋が予想できるからである。俳諧とは異なる言葉の根ざす場所の発見が、俳句の存在理由を証すに違いない。

坪内 稔典・・・・・「感受性の全開-伊丹公子論-」より

私は幼時より、本を読むのが好きな子でした。思ったことを、ひとりでノートに書きはじめたのは、十四歳ごろです。
二十一歳のとき、伊丹三樹彦に出会い、師事し、俳句に入門いたしました。のち、エッセイにも書いていますが、私の俳句揺籃期の記憶は、いまも鮮明です。
来し方をふり返りますと、俳句の師、三樹彦(三樹彦の師は日野草城でした)、詩の師、村野四郎、伊藤信吉、散文の師、芹沢光治良の深い師恩がうかびまいります。
思えば、生まれてよりの来し方、ずいぶん幸せな歳月を過ごさせていただきました。愛するひとびとと、目に見えぬ運命のなか、全句集を編むことのできました最晩年です。平穏な気持のなかにある時間、そののちの命終へ、感謝を捧げます。

伊丹公子・・・・・「全句集あとがき」より

○発行所

 沖積舎

 〒101-0051
 東京都千代田区神田神保町1-32

 電話03-3291-5891

 (定価15000円、税別)

◆「伊丹公子全句集」(いたみきみこ ぜんくしゅう):

伊丹 公子(いたみ きみこ)◆