会員の著作(2012年事務局受贈分) 句集 「天田屋文ヱ門」 中村ヨシオ 東京四季出版 2012年3月1日刊
寝室は十燭石蕗はいま五燭「寝室は十燭」と明るさが数字で示されることへの珍しさが新鮮に通じている。一面、くどいという思いもあるが……。「石蕗は……五燭」という感じ方は新鮮さの方が強い。こんなところにこの句は、単なる景色というよりも感じ方の独特さがあり、独特さのもつ新鮮さがある。 金子 兜太・・・・・「序に代えて」より 第二句集とも言える『中村ヨシオ句集』(海程新社・俳句文庫二十四集)から二十六年が経過した。この間、幾度かは句集出版の誘いはあったが、句集を編むほどの句数もなく、ずるずると歳月を費やして来たのだが、あるとき不意に、これ以上延ばすといよいよ一生出せずじまいになりそうな気持になり、なにはともあれ、自分自身にふんぎりをつけることにした。 中村ヨシオ・・・・・「あとがき」より ○森下草城子「跋」より十句 醤を造る瞼未明の火を湛え 秋の山麴埃を眉にして 一団の僧の月浴み裏比叡 赤ん坊に狂あるやなし半夏生 にっと笑う冬の蛞蝓無罪とす 子蛇いっぽん葉の上にあり曲らず 阿部完市亡き花冷えに横たわる 十六夜の猿のごとく母老いぬ 骨の母まだあたたかし草の絮 麴屋の孫で蝉取り名人で ○発行所 東京四季出版 〒160-0001 電話 03-3358-5860 (定価2600円、税別) ◆句集「天田屋文ヱ門」(あまだやぶんえもん): 中村 ヨシオ(なかむら よしお)◆ |
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