会員の著作(2011年事務局受贈分) 句集 「記 憶」 宇多喜代子 角川学芸出版 2011年5月14日刊
句集『記憶』は、前の句集『象』につぐ第六句集になります。その間、十年という時が過ぎましたが、これもわが速度に適ったなりゆきだと思っております。振り返れば一句の背後に、消した百語千語や、時のひろがり、おもいの深みが蘇えってきます。こののちもわが一句一句を書きとどめることに真摯でありたいと願うばかりです。 宇多喜代子・・・・・「あとがき」より ○帯「自選十二句」 働いてくる日くる日の青嵐 八月の赤子はいまも宙を蹴る かぶとむし地球を損なわずに歩く 大鷹の空や一期の礼をなす 一柱の真直ぐに添うて霜柱 甕底にまだ水のある夕焼かな 瀬頭に刃のひかり秋はじめ 鰯雲バベルの高塔とも見ゆる 深吉野の地祇をとどめて草氷柱 夏草と一日見合う二日見合う 山嶺のいまだ暗きに年の神 春祭石のしめりに雨が降る ○発行所 角川学芸出版 〒113−0033 電話03−3817−8535 (定価1500円、税別) ◆句集「記憶」:宇多喜代子(うだ きよこ)◆ |
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