関西現代俳句協会

会員の著作(2011年事務局受贈分)

  句集

「母 郷」

大島 時子

藍 俳句会 2011年5月28日刊

 

 著者大島時子さんは、昭和五三年五月、豊中市岡町の文化振興会館で初心者向けの俳句講座が開講され、その講師に私がお招き頂きました時、三木幸子さんのお誘いで参加。その後「さざれ句会」の熱心なメンバーとして、たゆみなく作句に励まれ、三〇年以上も共に歩んでまいりました。
 句集『母郷』をひもとく誰もが著者のやさしさ、温かさにきっと触れられることでしょう。そして、私達もまた、身近な人々をいっそういとおしみ、大切に思う心に満たされてまいりますでしょう。

花谷 和子・・・・・「巻頭言 共に歩む」より

○花谷和子「巻頭言 共に歩む」より十二句

 飯盆のけむりにむせて赤とんぼ

 さそり座も大きく昇りきもだめし

 梅雨に入る父の匂いの古き句誌

 約しての秋の別れや法隆寺

 青柿のひかりの中のわが母郷

 元旦や父の紋付遠くして

 米寿の母くるくる動く麦の秋

 銀婚の夫振りかえる日の中に

 末の子も二十となりし青ぶどう

 合鍵を嫁に渡され枇杷の花

 今日も来る幼の電話夏休み

 兄嫁の粕汁の香や仏間まで

○発行所

 藍 俳句会

 〒560-0024
 豊中市末広町2-8-5

◆句集「母郷」(ぼきょう):大島 時子(おおしま ときこ)◆