関西現代俳句協会

会員の著作(2008事務局受贈分)

句集「夜行バス」 

勝又千恵子

揺籃社 2007年12月25日刊

家族と夕食を共にして、日常生活を完結させる。そして、一人の夜行バスに乗る。バスが曉闇を突き抜け、そこに待ち受けている非日常の世界にいきなり対面する。

そのどきどき感が好きなのだ。そして脱皮したばかりの成虫がそうであるように、生れたばかりの初心な眼で世界を見回す。

 表現者としての異次元の時空を完全燃焼して、夜行バスで帰宅する。家人が未だ眠っているうちに朝餉を用意し、そこからいつもの生活者に立ち返る。勝又千恵子にとって夜行バスは単なる移動の手段ではなく生活者と表現者とのモード転換装置であったのだ。(前田弘)

・・・・・「序にかえて」より

○帯の句より(事務局)

  近江なる大きな凹み霧深む
  つばめ速し桶屋町から牢屋町
  お訣れは夜行バスにて参ります
  小鳥来る私もさつき来たばかり
  堪えてゐる空の重さへつばくらめ

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 (私家版)