関西現代俳句協会

山崎淑女「句集・誹譜悠悠」草風の会 2004年9月刊行

著者のことば

自然に愛を、人間に愛を

推薦の辞(福田 基)

 山崎淑女さんは山本健吉のいう「滑稽、挨拶、即興」の俳句の三箇条を全うされた作家である。

その嫌悪感のない「花鳥諏詠」を骨子としながら、時代と共に揺れ動く女ごころの微妙さと、多感なリリシズムを、そして「事・物」に対峙する真の愛と、そのユーモラスを汲み取って欲しいと願うものである。(句集の帯より)

推薦の辞ならびに感銘句 (中井不二男)

 山崎淑女さんはホトトギスを作句のスタートになさったということは、取りも直さず、写生を徹底的に学んだということだろう。この句集で特に私が感動を受けたのは、その写生が時空を超えて現れた瞬間である。そんな句に出逢った時の歓びを満喫させていただいている。

 生きることをことさら表に出さず、痴れっと物や形だけで描出される力量には驚かされる。感銘を受けた句を列挙しておきたい。

感銘句 

柘榴裂け澄みし外気とつながれる

遠つ国を手繰れば動く烏瓜

渦を解き敦盛草の芽が育つ

暮れそむる眼裏へ蝶かくまへり

蛇の衣少し余して地を摺れり

海鳴に音の花火の消えてゆく

君子蘭はじけて庭を明るうす

茱萸の枝伸び鳥たちを宿したる

山肌のいのち灯せりななかまど

蛇の衣分身となり神の中

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