関西現代俳句協会

伊丹啓子 句集『ドッグウッド』

沖積舎/2004年2月刊

著者のことば

第一章の『ロードナイト』は1986年〜2000年の作品。

第二章の『トーテムポール』は1982年〜1992年の作品。幼年期からの息子を育てる過程で出来た句々を収録した。

第三章の『ドッグウッド』は1985年から1995年の作品。本書の題名にもした章名は、北米原産の花水木のこと。因みに、ドッグウッドはカナダB.C. 州の州花でもある。息子がB.C. 州のハイスクールへ留学し、蜜の部屋の扉は外部へと開かれた。
息子と私の新しい出発を暗示している。

推薦の辞(伊丹公子)

伊丹啓子の書くものにはちょっと説明し難い純粋性がある。先に生まれた評伝の著書二冊でもそう思った。俳句はそれより以前、十代の終わりにはじめている。生きてゆく時間のなかで見え隠れするこの純粋感性はやはり彼女のオリジンなのだ。

その他、坪内稔典氏、西川徹郎氏、櫂未知子氏より栞文を賜っている。

句集の中から

枇杷抱けば ピカソの女が泣くような
花曇 犀のかなたへ子を放ち
ロードナイトの黙持つ 終の紫陽花が
編み棒で星座を測る 野の女
アボガドを古代石器に 女の夏
移住家族 ドッグウッドの香を纏い

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