関西現代俳句協会

■2019年11月 青年部 招待作品

めーく・あっぷ/田村奏天








 めーく・あっぷ

 田村 奏天




立ってあまりに刹那な春を許してやる


桜くぐり抜けばらばらに散る視線


うそつきの「き」だけ八重歯を夏へ晒す


きみときてたくさんのはだしだ うみだ


星涼しミイラの中にある夜は


八月の栞破れて出る花びら


「芒、草を亡くしたの?なら、代わりの羽。」


セーターを光のように剥がしました


つくるまえの呼吸を雪の熱として


めーくあっぷみーうぃずみー。くりすます。


◇「めーく・あっぷ」:田村奏天(たむら・かなめ)
2000年生まれ 東京都在住
所属団体:「路地裏ナキムシ楽団」製作助手

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