関西現代俳句協会

■2018年1月 青年部 招待作品

残る/野住朋可








 残る

 野住 朋可




帰り花下巻揃はぬ文庫本


あるときはサラリーマンや神の留守


木の葉散るバター角からなくなりぬ


雪催膨れてきたるピザの耳


空振りの風が枯野の風となる


まなざしを隠す眼鏡や大枯野


窓口に蜜柑の匂ひ残りけり


冬暖か椅子に看板置かれたる


春隣耳から眠り始めけり


結末にさらに続きや冬の虹


◇「残る」:野住朋可(のずみ・ともか)
1992年生まれ 大阪府在住
所属団体:「奎」

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