関西現代俳句協会

関西現代俳句協会温山荘吟行

2023(令和5)年4月29日(土) 

ゴールデンウィーク初日の4月29日(土)、和歌山県海南市の「温山荘」で、関西現代俳句協会の吟行が行われました。

新田長次郎翁が造園した庭は、動力伝動用の革ベルトで財を成したとされ、丁度新緑の季節で、躑躅やシランも満開で、松の芯も勢いよく伸び、天気にも恵まれ、季語にあふれた吟行となりました。

句会場は母屋の日本座敷で、久保会長、西谷事務局長をはじめとして、関西一円より17名が参加し、各自の句評をじっくりと吟味し合う、ゆったりとした句会となりました。

選者選と高得点の句は以下の通りです。

久保 純夫 選

特選 別荘のちひさな入江とべら咲く 金山 桜子
次点 靴箱に靴が十七昭和の日 塩見 恵介
次点 かの世からこぼれ黒蝶海の上 上森 敦代
入選 夏山のずい道を抜け潮騒へ 赤窄  結
入選 さへづりを聞きわけてゐる楠大樹 金山 桜子
入選 つつじ燃ゆ庭に反る石伏せる石 志村 宣子
入選 楠の花汽水の水面までおよぶ 金山 桜子
入選 ゆく春を矢印どれも海目指す 塩見 恵介
入選 時を経し窓のゆがみや松の芯 辻本 俊子
入選 偏差値を競ふが如し松の芯 満田 三椒
入選 紫蘭咲く足踏みミシンの革ベルト こにし 桃
入選 正面に黄色のホテルつばくらめ 西谷 剛周
入選 マリア様あがむ灯篭花とべら 尾崎と代子
入選 憂国の風にあらがう松の花 上森 敦代
入選 万緑へコの字の縁を開け放つ 満田 三椒
 

塩見 恵介 選

特選 潮はねる大き欄間や夏座敷 尾崎と代子
次点 温山荘晴れて卯月の海の綺羅 辻本 俊子
次点 飛石のときに大きく松の芯 久保 純夫
入選 マリーナの潮の匂いにたたずみぬ 久保  彩
入選 引き潮の磯巾着に頼みごと 西谷 剛周
入選 夏山のずい道を抜け潮騒へ 赤窄  結
入選 さへづりを聞きわけてゐる楠大樹 金山 桜子
入選 春愁のマリア住み継ぐ石灯篭 上森 敦代
入選 雛納む紀州漆器の調度かな 蔵田ひろし
入選 時を経し窓のゆがみや松の芯 辻本 俊子
入選 偏差値を競ふが如し松の芯 満田 三椒
入選 紫蘭咲く足踏みミシンの革ベルト こにし 桃
入選 波越えの欄間のうさぎ楠若葉 西谷 剛周
入選 楠若葉もこもこ湧き出づる悩み 横田 明美
入選 松の芯透かし海辺の診療所 横田 明美
 

志村 宣子 選

特選 紫蘭咲く足踏みミシンの革ベルト こにし 桃
次点 靴箱に靴が十七昭和の日 塩見 恵介
次点 偏差値を競ふが如し松の芯 満田 三椒
入選 さへづりを聞きわけてゐる楠大樹 金山 桜子
入選 別荘のちひさな入江とべら咲く 金山 桜子
入選 時を経し窓のゆがみや松の芯 辻本 俊子
入選 ガラス戸は明治の軋み遠青嶺 満田 三椒
入選 飛石のときに大きく松の芯 久保 純夫
入選 かの世からこぼれ黒蝶海の上 上森 敦代
入選 かげろふやコンビナートの塔の影 阿波 秀子
入選 亀鳴くを待てり西池東池 北岡 ゆみ
入選 波越えの欄間のうさぎ楠若葉 西谷 剛周
入選 万緑へコの字の縁を開け放つ 満田 三椒
入選 万葉の有間の皇子や夏落葉 北村 峰月
入選 松の芯透かし海辺の診療所 横田 明美
 

西谷 剛周 選

特選 靴箱に靴が十七昭和の日 塩見 恵介
次点 7号車3番D席松の芯 こにし 桃
次点 亀鳴くを待てり西池東池 北岡 ゆみ
入選 さへづりを聞きわけてゐる楠大樹 金山 桜子
入選 楠の花汽水の水面までおよぶ 金山 桜子
入選 偏差値を競ふが如し松の芯 満田 三椒
入選 ガラス戸は明治の軋み遠青嶺 満田 三椒
入選 ゆく春の芥の池の作業舟 横田 明美
入選 紫蘭咲く足踏みミシンの革ベルト こにし 桃
入選 一邸のダンスホールに春をしむ 蔵田ひろし
入選 飛石のときに大きく松の芯 久保 純夫
入選 かげろふやコンビナートの塔の影 阿波 秀子
入選 汽水に逆さ躑躅の孤独かな 志村 宣子
入選 憂国の風にあらがう松の花 上森 敦代
入選 松の芯透かし海辺の診療所 横田 明美
 

満田 三椒 選

特選 ゆく春を矢印どれも海目指す 塩見 恵介
次点 楠若葉もこもこ湧き出づる悩み 横田 明美
次点 引き潮の磯巾着に頼みごと 西谷 剛周
入選 さへづりを聞きわけてゐる楠大樹 金山 桜子
入選 舟蟲や魚の遺体の仮住まひ 北村 峰月
入選 つつじ燃ゆ庭に反る石伏せる石 志村 宣子
入選 青石の橋を渡りぬかいやぐら 久保 純夫
入選 妙齢の潮の匂いや藤の花 久保 純夫
入選 行く春の15番線パンダ号 赤窄  結
入選 時を経し窓のゆがみや松の芯 辻本 俊子
入選 正面に黄色のホテルつばくらめ 西谷 剛周
入選 亀鳴くを待てり西池東池 北岡 ゆみ
入選 波越えの欄間のうさぎ楠若葉 西谷 剛周
入選 吾妻屋まで飛び石つたひ利休の忌 阿波 秀子
入選 松の芯透かし海辺の診療所 横田 明美

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高得点句一覧

【8点】  
さへづりを聞きわけてゐる楠大樹 金山 桜子
靴箱に靴が十七昭和の日 塩見 恵介
【7点】  
偏差値を競ふが如し松の芯 満田 三椒
亀鳴くを待てり西池東池 北岡 ゆみ
【6点】  
引き潮の磯巾着に頼みごと 西谷 剛周
紫蘭咲く足踏みミシンの革ベルト こにし 桃
つつじ燃ゆ庭に反る石伏せる石 志村 宣子
【5点】  
青石の橋を渡りぬかいやぐら 久保 純夫
飛石のときに大きく松の芯 久保 純夫
波越えの欄間のうさぎ楠若葉 西谷 剛周
【4点】  
ゆく春を矢印どれも海目指す 塩見 恵介
時を経し窓のゆがみや松の芯 辻本 俊子
ガラス戸は明治の軋み遠青嶺 満田 三椒
かの世からこぼれ黒蝶海の上 上森 敦代
正面に黄色のホテルつばくらめ 西谷 剛周
かげろふやコンビナートの塔の影 阿波 秀子
憂国の風にあらがう松の花 上森 敦代
万緑へコの字の縁を開け放つ 満田 三椒
松の芯透かし海辺の診療所 横田 明美

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