第44回句集祭&令和元年度忘年会 日 時 : 令和元年12月7日(土) 写真集はこちらをご覧下さい。 令和元年12月7日(土)、午後3時より、ホテル日航奈良にて第44回忘年・句集祭が行われた。ホテル日航奈良は、JR奈良駅の改札を抜け、西に連絡通路で行ける便利な所である。 句集祭では先ず、今秋、文化功労章者に選ばれた宇多喜代子さんに、鈴鹿呂仁副会長より祝辞、曾根毅副会長より花束が贈呈された。宇多喜代子さんは挨拶の中で、アフガンで銃撃を受け死亡した、医師、中村哲さんのことを語られた。人道支援に取り組んでいる「ペシャワール会」の代表の中村哲さんは帰国された折り、現俳協の大会で講演されている。(「現代俳句」平成23年8月号参照) 続いて、音羽和俊理事より今年の句集祭に参加した15の作品の、作者名と句集名、そして代表句1句が読み上げられた。(参加作品一覧参照) 句集『森へ』の宇多喜代子さんは、「8冊目の句集で、1年前に出した。時間をテーマにした。森は水を含む。山は水のかたまりである。代表の一句は<一瞬が一瞬を追う雪解川>」 句集『発火点』の江島照美さんは、「先ほどの中村哲さんの話には心打たれた。本日は<月冴ゆる真の闇とは心の闇>を掲げたが、俳句で人との出会いが広がった。」 句集『定点観測―櫻まみれ』の久保純夫さんは、「第12句集のこの句集は、3カ所を定点にした、全部桜まみれの句である。<千年の木仏の中の櫻かな>」 句集『一対』の小西瞬夏さんは「岡山に住んでいるが、学生時代は奈良にいた。早苗田吟行に参加し関西のとりくみに惹かれた。<一頭の蝶一対の耳凍てる>」 影印・解釈『私の中の芭蕉 心で読む「おくのほそ道」』の瀬川照子さんは、「柿衞文庫の学芸員をしていた。おくの細道の写本、原文、口語訳を1冊の本にまとめた。多くの人に芭蕉に親しんでほしい。」(筆者註―写本と原文が紙面の上下に配置され、古文書を読む・朗読する楽しさが味わえる。現代の私達に適った丁寧な口語もありがたい。) 句集『天真』の千坂希妙さんは「11月27日に出来た。<夕焼けの沈むあたりかガンダーラ>は若い頃に放浪した体験が源になっている。」 句集『はいくんろーる』の浜脇不如帰さんは「俳句は腐らない。このような人間的な集まりの句集祭にいる自分がいる。ネット句会もやりましょう。<キリストと羽延ばす哉鴉貝>」 句集『七草』の松島圭伍さんは「ぎっくり腰をやってしまった。ひとり者だが、俳句は生涯の友である。<又ひとつ煩悩を捨てむ枯野径>」 句集『いまを生きる』の山崎篤さんは「斑鳩町の町役場で働き定年を迎えた。斑鳩吟社の104回続く法隆寺句会に携わっている。俳句は生きている、その時その時の詩である。<木の実降る神の涙かもしれぬ>」 句集『夏の蝶』の山田和さんは「教師を続けながら京鹿子で3代の主宰に教えを受け、句歴43年になる。夫との日常も句に詠んで来て、亡夫は今も私と共にいる。<天平の塔より高き夏の蝶>」 句集『櫛買ひに』の渡邉美保さんは「草の実が大好きである。俳句には生き様が表れる。第1句集は褒めてくださる。これからが大事だ。<烏瓜灯しかの世へ櫛買ひに>」 続いて、西谷剛周事務局長から、当日事前に行われた理事会の報告があった。久保会長より第55回全国大会(東京)の報告。西谷事務局長より6月30日の早苗田吟行(参加者32名)、10月27日の法隆寺吟行(参加者27名)の報告があった。続いて、久留島元青年部長より青年部のきめ細かな句会のとりくみの報告があった。和歌山地区に理事がいないので、前任者の古梅敏彦さんの推薦で、満田三椒さんが就くことが信任された。 令和2年度の関西現代俳句協会の総会は、4月25日(土)ホテルヴィアーレ大阪にて、理事会は午後1時から、総会は午後2時から、第7回俳句大会の表彰は3時から、懇親会は4時半から行われる。関西現代俳句大会の投句締め切りは令和2年1月31日、目標は1800句(3句出句なら600人、6句出句なら300人)。2年間のブランクがあるとりくみなので、役員・理事の皆様、あらたに呼びかけをお願いしたい。 その後、久留島元青年部長の司会、高橋将夫副会長の開宴の挨拶、岡田耕治副会長の乾杯の音頭で懇親会が始められた。美味しいコース料理が次々とテーブルに運ばれ、おのおの自席でゆっくり食べ、和やかな会食となった。 気がつくと予定の午後7時ぎりぎり。最後に志村宣子副委員長が、事前の準備や受付を滞りなく担当した、事務局、幻の皆さんの労をねぎらい、関西現代俳句協会の一層の結束を誓って〆とした。 (記録・外山安龍)
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