関西現代俳句協会

関西現代俳句協会第3回定例句会開催

 

 平成28年7月30日(土)午後1時より大阪船場のホテル、ヴィアーレ大阪に於いて、
第3回定例句会を開催した。
 参加者は事務局5名を含め総勢48名であった。
 当季雑詠句を各自3句提出。会員は3句選、4名の選者は10句選とした。
 会場の雰囲気も良く充実した句会となった。
 なお第4回は平成28年10月29日(土)にヴィアーレ大阪で開催する。

 

 参加者全員の2句のみ掲載します(50音別)

   ただ前へ進むことのみ炎天下      有馬 映子
   縄をもて鉾の軋みを逃しけり

   神杉の声漏らしたり夏の月       石井 和子
   山百合や髪を濡らして戻りけり

   ひらがなの様な涼風流れけり      上田千恵子
   空蝉や生命線は変はるらし

   遠蝉や珈琲カップ卓に置く       上野乃武彌
   撮ったでせふ振り向く人のサングラス

   何事か呪文唱えて海女潜く       上藤おさむ
   沖縄戦展息を殺して汗の人

   騒音の中に無我生む油照        江島 照美
   少年の刑務所の塀晩夏光  

   ラムネ飲む思案一つを転がして     大西 陽子
   身の一つ置どころなきサングラス

   木を石を雨の洗ひし星まつり      岡野多江子
   青田風日本ぢゅうを輝かせ

   火照りたるまま上りくる夏の月     小川 桂子
   しば漬や酷暑乗り切る昼餉かな

   光速のセミの本をたたみかけ      葛城 裸時
   散りばめた梅雨の箱達開けまくる

   一列の鱏の鰓穴八月来         川ア 奈美
   イルカショー飛沫くる席より埋まる

   靴底の百物語火の匂い         木野 俊子
   素顔のまま八月六日行きのバス

     茄子の馬母の小言を乗せて来し     熊川 暁子
   火の性を青くゆらして熱帯魚

   積み上げしものは崩れる雲の峰     桑田 和子
   辻にきてまだ別れ得ず星祭

   研ぎ汁に米粒混じる敗戦忌       志村 宣子
   なんとなく夫の血の濃き浴衣の娘

     百日紅派兵の車通る道         翠  雲母
   七月のトランポリンか十八歳

   太陽に近くて涼し山頂は        高橋 将夫
   サーフィン寄る年波も乗りこなす

   水青きところに佇ちて鮎釣師      谷下 一玄
   ごきぶりのねらひさだめし点へくる

   いかな日も平穏はあり蓮の花      田宮 尚樹
   鯰鍋さきの地震の敵討ち

   六文銭のマンホールです炎暑です    樽谷 寛子
   一駅歩く青蔦の源兵衛坂

   形代の佳き名の橋をくぐりけり     千原 恭子
   夏逝くや巻貝ゆるむ砂の上

   空蝉の重さを腕に感じをる       中西 厚子
   土用凪時計の音の喧し

   裏庭に金魚の墓をつくりけり      中俣  博
   石仏の里に蜥蜴となりにけり

   かき氷水の薀蓄ながながと       中溝 玲子
   口元を引き締め髪を洗ひをり

   祇園会や日にも月にもなる扇      西川 吉弘
   古都なれや躢口には鹿も来て

   騙し絵のような空澄み七月尽      西田 唯士
   ひまわりの迷路すんなりゴッホ来る

   梅雨ごもり書斎はわれの宝島      野村 朴人
   認知症なりたくなくて鰻食ふ

   土用の日うまい鯰と誘われ       橋本 昭一
   鮎放つ村に一女の誕生報 

   夕焼や母がゐたなら手をつなぐ     橋本 道代
   竹落葉林は縦の風ばかり 

   借景の山もととのふ夜の秋       樋本 和恵
   お帰りと迎へられたる祭かな

   三尺寝地下足袋の裏見せながら     平井芙美子
   山住みの女は強し竹煮草  

   船渡御白布の波に滑りだし       福嶋 雄山
   夏越し終え纏ふ穢れの軽さかな

   屋台店肩から入る夏のれん       藤本  晉
   野の道の乾いて白し金葎

   熱帯夜ともかく枕うら返へす      星川 淳代
   川音の闇やぶりつつ螢かな

   かなぶんや児らは絵本を丸暗記     本郷 公子
   秘すればなほ祈り深まる夜の秋

   敗戦忌軍手の呼び名他になきや     松島 圭伍
   水中花午後の床屋のひまでんな

   帰省子の先ず深々と眠りけり      的場 秀恭
   諦めも生きる術とし水を打つ

   ももすももクレヨンの声灯る家     三好つや子
   夜の蝉それは時効になった嘘

   針山に針の埋もれし敗戦忌       村田あを衣
   あやとりの橋はくづさず星今宵

   胃カメラが見付ける命送り梅雨     森口 和子
   人形の髪洗う子の大人びて 

   眼よりサングラスまで此岸       柳川  晋
   虫追ひに囲まれてゐる君と僕

   水打てば石も声あぐ昼下り       山浦  純
   青春を返して下さい敗戦忌

   欠伸して涙の先の夕焼け雲       山崎よしひろ
   湯上りのほてり静める螢川 

   一本の朝蜘蛛の糸断ちにけり      養学登志子
   九十歳に贈る扇でありしかな

   鳴きに来し蝉が勲章父の墓       吉田 成子
   軸の絵に座り直して涼しさよ

   吐ひて吸ふ駅の口まで灼熱す      吉村紀代子
   真炎天雑草われを敵とす

   棒飴の溶ける八月十五日        和田 Y子
   埋めつくす空地に風のねこじゃらし

 (以  上)

▲関西現代俳句協会トップページへ