関西現代俳句協会

第6回関西現代俳句大会

 第6回関西現代俳句大会は平成28年4月23日(土)、理事会、総会に引き続いてホテルヴィアーレ大阪において、昨年度を大幅に上回る応募者318名、投句総数1,476句の参加を得て、盛大に開催された。予定の3時を15分遅れて、西川吉弘企画部長の司会で始まった。

 開会の挨拶は花谷 清副会長、「過去の大会と比較して参加人数等増えているのは、大会に魅力があることの反映である。昨年から選者特別賞を設けており、どの選者がどの句を選んだのかを考えるのも一つの勉強になる」との挨拶があった。

 引き続き音羽和俊により大会賞1名、秀逸賞2名、入選賞4名と選者特選賞20名の披講が行われ、大会賞、秀逸賞、入選賞のそれぞれの受賞者への賞状授与、賞品授与のあと、選者による講評が行われた。

大会賞 桑田和子
 花谷 清副会長 講評「20名の選者の内7名もの共感を得ている。朝とも昼とも言っていないが「端に日のある」と情景が綺麗に浮かび上がってくる句である」

秀逸賞 仲井タミ江
 的場秀恭 講評「なつかしい日本の情景の一コマの忙しい主婦の様子が平明な表現で描かれている」

秀逸賞 竹内久子
 鈴鹿 仁 講評「天金の書物というのは大切な書物であり、その温かみのある感じと小鳥来るの季語のバランスが良かった」

入選賞 千原恭子
 西谷剛周 講評「悪法が施行され、国会の審議を経ないまま今に至っている。みんな黙っているというのが国民の気持ちである」

入選賞 木村オサム
 選者特選賞において講評されることになった。

入選賞 片山煕子
 若森京子 講評「落葉の中の園児を火種にたとえて熱く燃えてゆく音まで聞こえてきそうな句である」

入選賞 岩本光子
 高橋将夫 講評「二人だけの暮しを、この句のように奥さんから表現されるというのは男冥利に尽きるのでは。幸せなご主人である」

 引き続き、選者特選賞もそれぞれの選者の講評を受けて、賞状授与、賞品授与がおこなわれた。スペースの都合上、特選句の講評は一つだけ掲示させて頂く ことにする。

選者特選賞  木村オサム
 出口善子 講評「本来戦う為にある鹿の角だが、大自然を関知するアンテナの働きもあるのかもしれない。インスピレーションの豊かさに虚をつかれた」
                     (文中の受賞者の方、及び理事の方の敬称は省略)

(各賞入選作品と受賞者については下記の一覧表、俳句大会の模様については、以下の写真をご覧ください。)

    

■第6回関西現代俳句大会・入賞作品および受賞者

入選句

大会賞 湖の端に日のある寒の入  桑田 和子
秀逸賞 きれ切れの女の時間毛糸編む  仲井タミ江
天金のふくらむ聖書小鳥来る  竹内 久子
入選賞 開戦日みんな黙ってごはん食ぶ  千原 恭子
角伐られ風の記憶をなくす鹿   木村オサム
落葉の中火種のやうな園児たち  片山 煕子
夫といるただそれだけに注連飾る  岩本 光子

選者特選賞

赤尾 恵以選 語り継ぐ時間の中のなずな粥  前田 霧人
伊丹三樹彦選 二筋の水尾の寄り添う残り鴨  桑田 和子
宇多喜代子選 落葉の中火種のやうな園児たち  片山 煕子
尾崎 青磁選 皹割れの地よりふき出る命の譜  堀川 博子
久保 純夫選 梟になろうか脳ぬれている  玉記久美子
小泉八重子選 さっきまで狐でありし薬指  上森 敦代
鈴鹿  仁選 風の日のこころに冬の樹がいっぽん  小池万里子
鈴鹿 呂仁選 大佛のごとき赤子や冬帽子  神成 桂子
高橋 将夫選 拾ふ気になりて見え出す木の実かな  岩成 天風
谷口  洋選 もう誰も叱ってくれず木の葉髪  夢乃 彩音
谷下 一玄選 冬籠話し相手の鏡拭く  東   徹
出口 善子選 角伐られ風の記憶をなくす鹿  木村オサム
豊長みのる選 わが駅に着けばわが村春隣  藤本  晋
西谷 剛周選 生きものに水がぶつかる悟朗の忌  玉記久美子
花谷  清選 テ・デウム響く西坂致命祭  野村 朴人
政野すず子選 あの時の哀しみに似て返り花  志村 宣子
的場 秀恭選 夏柑のたわわ島ごと忘れらる  志々見久美子
室生幸太郎選 万葉のこころをのせて若菜つむ  野村 朝子
吉田 成子選 落葉の中火種のやうな園児たち  片山 煕子
若森 京子選 生きものに水がぶつかる悟朗の忌  玉記久美子
当日配布しました冊子「第6回関西現代俳句大会入選作品集」は在庫がありますので、ご希望の方にお送りいたします。(残部僅少) >> お問い合わせ

懇親会

 少し定刻より早めにクリスタルルームに席を移し、懇親会が開催された。司会は中俣博で、開会の鈴鹿呂仁副会長の開会挨拶に続いて、今年度の受賞者を代表して桑田和子から「大会賞に選んでいただき、有難うございます。難しいことは言わず、淡々とした写生の景であり、今回大会賞という光を当てていただいてうれしい。 これを励みに頑張ってゆきたい」との挨拶があった。

 豪華な料理が次々と運ばれる合間を縫って、鈴鹿仁顧問、久保純夫理事、出口善子理事、西谷剛周理事の挨拶のあと、尾崎青磁副会長締めの言葉で祝宴は惜しまれつつお開きとなった。

 (蔵田ひろし記)

 > 総会についてはこちらをご覧下さい。

■第6回関西現代俳句大会の模様

大会賞 桑田和子氏の表彰

赤尾恵以氏よりの講評

尾崎青磁氏よりの講評

久保純夫氏よりの講評

鈴鹿仁氏よりの講評

鈴鹿呂仁氏よりの講評

高橋将夫氏よりの講評

谷下一玄氏よりの講評

出口善子氏よりの講評

西谷剛周氏よりの講評

花谷清氏よりの講評

政野すず子よりの講評

的場秀恭氏よりの講評

吉田成子氏よりの講評

若森京子氏よりの講評

■懇親会の模様