関西現代俳句協会

2021年1月のエッセイ

新型コロナ時代の句会

岡田耕治

  新型コロナウィルスの影響は、私たちの日常を一変させました。私の中で起こった最も大きな変化は、「死」について考えるようになったことです。人は必ず死ぬ。人はいつ死ぬかわからない。この真実を、私たちは、少なくとも私は、先送りしてきました。この度、否応なく死というものと向き合う、そんな機会が訪れたのです。この変化は、私に今日一日をどう生きるのかと問いかけてきます。

 そこで、私たち「香天」が取り組んでいるインターネット上の句会を紹介したいと思います。一つ目は、鈴木六林男師の「花曜」の時代から20年以上続いている「E俳句会」です。毎月10日までに幹事宛に3句をメール送信しますと、翌日にランダムに並んだ投句集が返送されます。その中から3句選んで、20日までに返信します。すると翌日、幹事から選句集としてみなさんの選句と選評が送られてくるという流れです。句会の立ち上げ時から幹事は私が担当していましたが、今は北海道の安田中彦さんにお願いし、15人前後の参加があります。

 二つ目は、毎月第2土曜日に大阪市内で開催していた「大阪句会」です。新型コロナの影響で対面が難しくなり、ZOOMを使った選評を行うようになりました。第2土曜の2日前(木曜日)までに雑詠5句をメールかFAXで私宛に投句してもらい、それをランダムに並べて前日(金曜日)に投句集として配信します。参加者には当日の朝9時までに5句選句し、私宛に返信してもらいます。それを選句集としてまとめ、当日の午後2時から1時間程度、ZOOMによる選評会を行います。この時間帯に参加できない参加者には、終了後、選句集を配信します。この句会には、20人前後の参加があります。

 三つ目は、毎月第4火曜日に大阪市内で開催していた「上六句会」です。鈴木六林男師に「上六に行かねばならぬ夜の雪」という句がありますが、中央区上本町六丁目のことを上六と呼び、「花曜」の時代から続いている句会です。10人前後の参加者それぞれ一つ席題を出し、1時間余りで一つの席題に一句ずつ作っていく、非常に集中力の要る句会でが、コロナ禍によって対面で実施することが難しくなり、全てをメールのやり取りで行うこととしました。当日の朝8時までに席題を送ってもらい、9時に席題と筆名を送信。そこから13時までに1席題につき1句ずつ作句し、返信してもらいます。それらをランダムに並べて、14時に投句集を配信し、16時までに10句選句。選句結果は、20時までに配信するという流れで句会を行っています。

 お読みになっているあなたは、この三つのうち、どの句会に参加したいと思われますか。出句してから選句結果を受け取る時間をみますと、E俳句会は11日、大阪句会は2日半、上六句会は半日となっています。自分が制作した俳句に対するフィードバックが短いということでいうと、上六句会が最も短くなっており、その分緊張感の高い句会になっています。対面の句会に近いと言い換えることができるでしょう。

 はじめに書きましたように、コロナ禍の中で私たちは、命というものと向き合うことになりました。コロナ後もインターネット上の句会は、様々な形で行われるでしょうが、ここに書いたように、出句と選句結果のフィードバックの間をどれだけ短くできるかが、その句会の臨場感につながるように思います。この命、いつ終わるかは分からないのですから。

(以上)

◆「新型コロナ時代の句会」:岡田耕治(おかだ・こうじ)◆

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