関西現代俳句協会

関西現代俳句協会トップページ


10月22日
「第1回尾崎放哉賞のご案内」を掲載しました。
10月22日
結社紹介に、「青穂」を掲載しました。
10月21日
会員の著作に、外山安龍さんの句集『ゆきあひ』を掲載しました。

2017年10月のエッセイ

句集のすすめ

外山安龍

 関西現代俳句協会では毎年、12月の第1土曜日に「句集祭り」が行われる。会員が刊行した句集を紹介し祝う会である。
 私の属する「半夜」では昨年から今年にかけて数人が相次いで上梓した。私もつられて2冊目の句集を現在校正しているところである。

 中島敦の小説「山月記」で、詩人になり損ない虎となった主人公・李陵は、今でも自分の詩が都の風流人士の机におかれる夢を見ると言って嘆く。世に認められたいということにかくも執着するのも、また人間の業なのだと教えてくれる小説である。

 私が句集をすすめるのはそのような大それたことではない。俳句を続けてきた人生の一シーンとして句集をもつことはよいことだと思うからだ。

 俳句を詠むことなど考えもみなかった時分には雲散霧消していたであろう、自分の感じたり思ったりしていたことを、移ろう季節の言葉に合せて句に詠むようになった。その句を持って句座に臨む。誰かに自分の句を取ってもらえる。感想も言ってもらえる。大げさに言うと、人の心に風を起こす。自分も人の句にふれ感受性を磨いていく。俳誌に自分の句が少しすまして載る。俳句大会や新聞等に投句して選ばれる。認められたと喜ぶ。

 等々、年々繰り返し続けていく。それはマンネリもあるかもしれないが、俳句など知らなかったときの自分と比べて豊かな時間を過ごしていると言えよう。

 句集を出すということはそれらの活動を全部ふまえた上で、それらの時間や記憶を1冊の本に残すということである。そして句集を読み返すたびにそれらのことが昨日のことのようによみがえるということである。

 句集を作る過程は前述した俳句にかかわる活動とは全く違う作業である。句座は例えていうと青果市場であり、他の句と見比べてどれだけ自分の句が生き生きしているかが問われる。句集は自分の手作りの庭である。どのようにすれば、その句がその句らしく引き立つか、1句ずつ植えていく。季節とともに花が変わるように句も変わっていく。ぱっと開いた頁の、見開き4句のうち主役と脇の句を決め奥行を作る。次の頁への余韻や切り替えをどうするか等考えていったらきりがない。

 勿論、そのためには持ち駒の句が多くなければできない。また自分の仕掛けどおり読者に受けとめてもらえるかはわからない。一人相撲かも知れない。しかしながら、子供がデゴを夢中で組み立てるように無心になれること請け合いである。

 そのほか表紙はどうするか、本の大きさはどうするか。近頃は文庫本サイズも増えている。今までいただいた句集を見直し、あれこれ考える。そう何度も出版できるものではないので、ぎりぎりまで粘って考えたいと思う。

 とにかく贈った人には読んでほしいと思う。何か工夫をと考え、私は、句集の最後に脚注集を付けることにした。

 縷々述べたが、そうやって出来た句集は世界にひとつだけの花である。あちらの庭でもこちらの庭でも花が咲いているように、毎年誰かが句集を出してほしいと思っている。

(以上)

◆「句集のすすめ」:外山安龍(とやま・あんりゅう)◆

 

■今月のエッセイ・バックナンバー

◆2017年

タイトル 作 者
9月 松茸 西原和孝
8月 大いなる未完の人 藤川游子
7月 近頃、俳句に思うこと 米岡隆文
6月 悪筆三銃士 藤本 晉
5月 「丹波百谷」俳句の今昔 大谷茂樹
4月 おいしいアニミズム 三好つや子
3月 小海線のおにぎり 大城戸ハルミ
2月 はじめて通る道 谷川すみれ
1月 旅をする蝶 吉田 成子

◆2016年

タイトル 作 者
12月 命綱の結び方 花谷  清
11月 初学のこと 丸山 景子
10月 チョコを食べるのをやめてしまった 久留島 元
9月 灸花 志村 宣子
8月 野風呂岬を訪ねて 鈴鹿 呂仁
7月 弘前城の曳屋工事と甥の結婚式 綿貫 伸子
6月 技能・芸能の霊性と歴史性 熊川 暁子
5月 芭蕉終焉の地 森  一心
4月 近江富士 村井 隆行
3月 イチローと多作多捨 木村オサム
2月 田圃のことなど 久保 純夫
1月 手間暇ということ 宇多喜代子

◆2015年

タイトル 作 者
12月 堺大仙公園の日本庭園平成曲水の宴 谷下 一玄
11月 難病と闘いながら 政野すず子
10月 島の眺め 田宮 尚樹
9月 神戸北野坂界隈とジャズ 西川 吉弘
8月 豊かな時間 西谷 剛周
7月 戦後70年に思うこと
―飾らず、逞しく生きたい―
藤井冨美子
6月 住み心地のよい雑居ビル 辻本 冷湖
5月 生存証明 出口 善子
4月 集中治療室 小泉八重子
3月 それそれ神 辻本 孝子
2月 十年日記 森田 智子
1月 十二月のスーパーマーケットで 宇多喜代子

2014年

2013年

2012年

2011年

2010年

2009年

2008年

2007年

2006年

2005年